私と「マザーズ スピリット」
異文化交流バンザイ!!
今の私はこう叫びたい気分である。なんたってこの「マザーズ スピリット」は、辺境の部族の青年と日本人青年がいい感じになっちゃう物語なのだ。
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そもそもの発端は、大学の事務員をしている筒月稜一郎が留学生のホームステイ先を押し付けられるところから始まる。
その留学生というのがなかなか曲者。ルター族という能力値の高い部族出身の彼(カルタカ)は勉強のために日本へやってくるのだが、なにしろ見るもの聞くものすべてが生まれてはじめて!おまけにカルタカのやたらと近い距離感に、筒月はドギマギさせられっぱなし。
こ、この二人の共同生活、どうなっちゃうの~!?って感じの話だ。
そしてこのカルタカ君、共同生活初日の朝から見せてくれますよ!なんと筒月が目を覚ましたら、隣には裸で寝ている彼!しかもその逞しい腕はしっかり背中に回っている有様!
どどどどういうことだってばよと動揺した私は、思わずいったんiPadをとじた(電子書籍版で読んでおります)。
ヘタしたら実際にカルタカの腕の中で目を覚ました筒月よりも動揺したかもしれない。とても直視できない。なにしろこれは私の萌えシチュエーションにガッチリハマっちゃっているのだ!
ちなみに萌えシチュエーションというのは、「くぅ~そういう状況に弱いのよ~」と思わずもんどりうってしまうシチュエーションのことだ。
朝起きたら隣で寝ているのは、本人が眠っていて相手のことを考えてもいない間も向こうはその人のことを考えていたってことでしょう?
いっしょに居たくて寝ている彼の隣にもぐり込む仕草。そしてその温もりにほっとして、安らぎをおぼえながら腕を回して眠ること。人肌恋しさとかわいらしさが同居した、ザ・ベスト萌えシチュエーションだ。
開始数分ですでに悶絶しているが、どうにか気を取り直して続きを読む。
この程度のパンチじゃジャブにもなりゃしねえぜ。私はパンチドランカーなんでな。
続いてカルタカ君、筒月にドラマで日本人がしている口と口をくっつける行為はなにかと尋ねる。そう、いわゆる口吸いと呼ばれる行為だ。
筒月くんは答えました。
「好きって意味だよ。愛情を示す方法で世界に広く伝わっている文化かな。大切な人や好きな人にするんだ」
それを聞いたカルタカ君、迷うことなく筒月の唇を!!奪う!!
そりゃそうだよねー、好きな人にするって言われたらそれが「人として好き」とか「恋愛として好き」とか区別つかないもんねー。だって彼まだ日本語習い始めたばっかりだし!そんな微妙なニュアンスわかんないし!
慌てて筒月は説明を訂正するも時すでに遅し、キスを気に入ったカルタカは強引に筒月に唇を重ねる!!私はうめき声をあげながらiPadを投げる!!
「正直やられましたよ。こんなベタな展開にやられるなんて屈辱ですが、やはり王道にこそ萌えは宿るんですね(私談)」
話はどんどん進んでいくぞ、お次はカルタカが留学している大学で女子に話しかけられる場面。
おっと?筒月君がなにやら?これは?ジェラってますね~、女の子といるほうが楽しいんじゃないかとか不安になってますね~。
ちょっと筒月君がチョロすぎて不安になりますが、カルタカにキスされちゃって安心している部分が見え隠れして大変グッドです。このあたりで名状しがたい心のときめきのあまり、頭を抱え始める私。萌えの沸点が低すぎて自分のことも不安になる。
ところがここで、カルタカと同じルター族のアクナムが登場する。
彼は開口一番こう告げる。
「ワタシはアクナム、カルタカの一番のお嫁さん探しマス」
そしてその言葉通り、たくさんの女の子をつれてカルタカと遊びに行ってしまう。
久しぶりに家に一人になる筒月。考えるのはもちろんカルタカのこと。
「可愛い子たくさんいたな……気に入る子、できたかな」
これもう完全に彼氏が知らない女の子と遊んでて不安になってる女子大生ですね。心なし顔つきも雌っぽくなってきていますよ。
しかも帰ってきたカルタカが「リョウイチロー行く、楽しい。だからアクナムも行く。でもリョウイチローいない。楽しい少ない」なんていうもんだからますます雌の顔に!
「なんでそういうこというかな…だからなんだか変な気持ちになっちゃうんだよこっちは…」
私もいまとても変な気持ちです!!
なんだかね、心が高ぶって高ぶって、iPadの画面を割ってしまいそうなの。どうなのよこれどうなの!?27歳独身の筒月稜一郎さん、カルタカに対して独占欲的なもの感じちゃってるんじゃないの!?
興奮のあまり頭痛がしてきたのでティーブレイクを挟む。落ち着け私、これはしょせんお話、これはしょせんお話…。
気を取り直して続きをめくると、カルタカの美しい心根が垣間見える。
不安をたくさん抱えたまま見ず知らずの土地に出てきて、そこで一生懸命に勉強しているのは、すべて村のため。愛する村のみんなに喜んでもらうために、そして村がよりよくなるために自分にできることを必死でする。
「初めてたくさん。楽しい。みんな見せるしたい、だから頑張る。勉強もっとたくさん、村のため頑張る」
稜一郎はそんなカルタカの姿に明確な心の高鳴りを感じる。そしてますます女の子と遊ぶ彼に一抹のさみしさを感じてしまう。
しかしカルタカのことを思えばこそ、彼は思いっきりさみしそうにしながらもカルタカを送りだすので、す、が~。
ここで再び登場アクナム。「リョーはジャマと思いました」と、いきなりのお前消えろ発言。しかもその理由が「さっさとカルタカをルターに連れて帰りたいのに、アイツはお前と暮らすの気に入ってる。勉強なんかどうでもいいからカルタカとルターに帰りたい」と身勝手なもの。
おまけに「文化も文明も必要ナイ、アノ地を変えるなどよけいなコトじゃナイのか」とカルタカの努力まで全否定。
そしてついに稜一郎がキレる。
「文化も言葉も習慣もなにもかも違っていて、わからないことばかりで。友達も家族も傍にはいない。そんな場所にたった一人で…それがどれだけ覚悟がいることか。全部、全部、君達を思ってのことじゃないか…!あれほどの彼の努力を、想いを…君が否定するなよ…!!」
カルタカ、稜一郎に温かな気持ちを感じる。それにともなって私のガマンも限界、ベッドの上で憤死。
これがラブということか…。家族や村のみんなのためを思って頑張るカルタカの姿に思わず感動の涙だ。
帰ってから怒ってくれた稜一郎にうれしいと伝えるカルタカ。もちろんキスもする。
とうとう臨界点を迎えてしまった稜一郎は、カルタカを求めてしまう。もうこうなっちまったら止まるわけありませんよ、ズンドコヒートアップする二人と私!!
ぎゃーーーこの二人いかがわしいタイプのキスまでし始めましたよ!しかも気が付いたら稜一郎さん後ろほぐし始めてるし!
これがナチュラルボーンウケということなんですね、自分で慣らしてるときは気持ち悪そうなのにカルタカの指が入ってきた途端に雌の顔。これもう完全に堕ちちゃってますわ。
というわけでとうとう結ばれた二人、どのように契りを交わしたのかはぜひとも皆さんの眼でお確かめください。
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私はなんかもう稜一郎さんが見事精神的に雌となってくれて、お腹いっぱいです。「キスだけは僕以外とはしないでほしい…」ってアンタこれ完全に妻のセリフですよ、成人男性とは思えませんね。
後日譚まで盛りだくさんのこの作品、ぜひご一読くださいませ。
いっしょにベッドで憤死しましょう!