恋の味
しばらく更新をほっぽらかして遊び呆けていた。
そうしたところ「更新まだですか?」という言葉を超えて、「生きていますか?」というおたよりをいただいてしまったので、生存報告をしにきた次第だ。
ワタクシ、生きております。
近頃よく、恋とはなんぞやと考える。
世の中には成就する恋よりも失恋のほうが多いだろう。
残念ながら私は、自分のことについては「信じれば夢は叶う」や「ひたむきに愛せばいつかきっと」なんて言葉を信じられないし、恋も叶うとはあまり思っていない。
もちろん叶えばいいだろう。叶う人もいるだろう。
自分が好きな人が自分のことも好きになってくれて、お互いに好き合っている前提でいっしょにいられる。それは素晴らしいことだ。
私もできればいつかは、胸板が厚くて笑うと目が細くなって大喰らいでおおらかで多少のことは笑って済ませてくれる、そんな恋人ができればいいなとよく妄想する。
しかし現実は非情である。
私は慎み深い人間なので、相手のことを好きであればあるほど身を引いてしまうところがある。
自信がないだけだろって?そうかもだ。
自分が好きな相手だからこそ、自分のことを好きになってくれはしないだろうなという考えがあるのは間違いない。
恋してしまうくらいステキな相手なのだから、見合ったステキな相手を選ぶだろうなと思ってしまう。
しかしそれで諦め切れればいいのだが、そうは問屋がおろさない。
私のほうでは相手のことが好きなので、心のどこかで「振り向いてほしい」と願ってしまう。
こっち向いてくれるわけないよね、でもこっち向いてよなんて、我ながら引くほどめんどくさい。
自分でもこんな感情に振り回されるのはめんどうなので、「こんな感情はゴミ箱に捨てて明日からは新しい私として生きていこう!ビバ、ニュー霞!」なんて思ったりする。
しかし朝起きて一番最初に考えるのはやっぱり片思いの相手のことで、まったく救いようがない。
昔の、嫌なものからは離れれば楽になれると信じていた私に言ってやりたい。
世の中には、近づいても遠ざかっても傷ついてしまうものがあるのだ。近づきたくても近づけなくて傷つくし、遠ざけたいけど遠くにいってほしくなくて傷つく。
恋は絡みついたイバラだ。
どう足掻いても棘を抜くには傷がつくのだ。もちろん傷は精神的なものなので、前向きに受け止めたり乗り越えたりできるが、なかなかエネルギーがいる。
中高生の恋とかビッグバン並みのエネルギーが放出されていて、のけぞってしまうほどだ。
私の恋心はといえば、テレビの向こうや次元の向こうに捧げられるばかりだ。
腐るのを待つばかりのお供え物のようで、なんだか切なくなる。もしかしたらもうとっくに腐ってしまっているかもしれない。
どれだけ相手のことを深く思っていても、それで好きになってもらえるわけではない。真実の愛であればあるほど、報われない悲しみは深くなるだろう。
それをさらに愛でもって乗り越えられる人は、もう神といっても過言ではない。ただ人を見守り愛することができるのは神の御業だ。尊敬する。
ところでみなさんは恋をしたことがあるだろうか。そういうとき「この人が好きだ」となんのとっかかりもなく感じられるものだろうか。
私は「なんだかこの人のことを好きだしいっしょに居たいなあと思うけど、じゃあ恋人になってどうするの?」と、いつも考えてしまう。
私はとても少食なうえ、緊張するとますますものが食べられなくなる。
恋人になったとして、ご飯もちょっとしか食べないしすぐに「気持ち悪い」「吐きそう」とか言い出す私といつまでもお付き合いをしてくれるだろうか。
こんな私を、私は申し訳なくてオススメできないのだ。
だからこそ、誰かを好きかもしれないと思っても、どうせ付き合えないよなと心のどこかでブレーキをかけてしまう。
月に三回くらいは「今度こそ身体を鍛えてがつがつ食べれてごくごく飲める人間になるぞ!!!」と決意したりするのだが、いまだ至らずである。
ていうかただただ胃を大きくすればいいのだろうけど、食べれないから大きくならないしまあいっかと諦めている。軟弱者め。
グダグダと文章を書いてみたが、結局はただの言い訳だ。
「つべこべ言う暇があるなら、告白の一つでもしてみろ!」と叱られてしまいそうだ。
しかしこれまでマジメに学校に通ってきたが、恋人の作り方も仕事の見つけ方も教えられていないぞ?
ゆとり教育だのやっぱりやめただの以前に、もっと教えるべきことがあるんじゃないのか教育委員会!そんなことだから学生がすぐに「不純異性交友」だの「できちゃった婚」だのするんだぞ!
と、怒りの矛先を変えてみても一人。
孤独死という言葉が身につまされるので、ルームシェアでも始めようかと思っている。
しかし風呂に入れば歌い出し、夜中にホモスレを読んでは奇声を発するような私と、ともに暮らしてくれるような人はいるだろうか。
それでもかまわないと言われたら、それはもはや結婚してもかまわないということでは?
夜中に自分の世界に迷い込むと、考えが迷走しつづけてわけのわからないところに着地してしまう。
誰かはやくこの迷路から連れ出してくれるよう、切に願う。