祭の夜
ヒュルルルルルル、ド~ン!!
窓の外から聞こえたのは、夏の風物詩らしい音だ。そう、花火である。花火に夏祭りといえば、世の多くの人々が熱狂し、大いに飲み食い、中には踊り始める者も出るイベントなのだ。
そして私の地元でも、昨日は夏祭りがおこなわれていた。
…行ってないけど。
これは決して私が、「友達に夏祭りにも誘ってもらえない可哀想な奴」というわけではない。断じてない。ただちょっと働いていただけだ。私は勤労者なのだ。
とはいえ、私のアルバイトは子ども相手のため、ほとんどが祭に行ってしまったせいで一時間ほどしか働かなかったのだけども。
そんなこんなで結局祭には行けなかった私だが、後輩たちが祭に行っていたようで、その様子を微笑ましくツイッターで眺めていた。みんな楽しんでいたようである。
「○○どこいる?待ち合わせどこにしよ?」
「家きてやー」
待て待て待て待て待て。
ちょっと待とう、落ち着こう、こいつらはなんの会話を交わしているんだ。ぼくの目にはどうしても、暑い夏の夜の祭を、二人でまわろうと言っているようにしか見えないのだが。
そして日が落ちてからは二人で花火を眺めようと言っているようにしか見えないのだが。
それって!?つまり!?デートでしょ!!
気が付かない間に、後輩男子二人の間に愛が生まれていたとは驚き桃の木山椒の木(古い)。
祭の夜に、お洒落をして出かける二人。人ごみに入るからラフな格好で、それでも普段よりは少しだけ気合をいれて。
そして待ち合わせ場所についた互いを見て、いつもと違う雰囲気になんとなくドギマギしてしまう。屋台の淡い光をバックに立つ姿は、胸をときめかせるのに十分な雰囲気をまとっているのだ。
「じゃ、じゃあいくか」
「おう」
ぎこちない会話を交わしながら、雑踏の中へはいっていく。
蒸し暑い夏の夜に、熱気を放つ屋台の前を歩きながら、あれこれと買い物をする二人。始めのぎこちなさも忘れて、食べ、飲み、笑い合う。そして腹も膨れてきたころに、涼しげな空気をはなつ屋台を見つける。
「お、金魚すくいあるじゃん」
「やるか!こどもの頃以来じゃなー」
水を張った青いタライの中に泳ぐ白と赤がまざった魚を、並んでおいかけまわす二人。普段なら近づかないような距離にお互いがいることを意識しつつも、なんでもない風を装って目の前だけを見つめる。
しかしそれでも、ふと触れ合ってしまった肘を意識してしまったりして、けっきょく一匹も掬えないまま、それでも心を弾ませてそこを離れる二人。
人ごみがうっとうしくなって、明るさからフラフラと離れておしゃべりしていると、不意にあたりが照らされ、轟音が響く。
「すげー!花火めっちゃきれい!」
叫びながら空を見上げる友人につられて顔を上げると、空いっぱいに輝く光。
濃紺の空を背景にうかびあがる光は、一つ一つが今この瞬間を必死に生きているように見えて、ひと夏の思い出のラストを飾るには十分な美しさだ。
ふっと視線を感じて隣を見ると、目があった。
「なにこっち見てんだよ、花火みろって」
少しだけドギマギしながら言うも、花火に照らされた友人の顔から目が離せなくなってしまう。半分暗闇に沈んで、もう半分はあざやかな光に彩られた顔は、普段見るよりもずっと魅力的だった。
ふっと笑いかけられて、耐えられなくなって空を見上げると、ひときわ大きな花火が打ちあがったところだった。
「お前真っ赤じゃん」とからかうように言われて、「そりゃあ、花火が赤いからな、赤くも見えるわ」と憎まれ口で返す。
ほんとは花火のせいだけじゃなく赤くなってしまっていたんだけど、まだ恋と呼ぶには淡いものをなんて呼んでいいかわからないまま、空を彩る光を眺める。
「来年もこれるといいな」
「そうだな」
未来を約束できるのが嬉しくて、口元がほころばせながら、隣に立っていられる幸せをかみしめるのだった。
後輩男子で妄想するのって、人として終わってる気がする。でもね、仕方ないんです、これは愛ゆえだから。
実はこのやり取りしてる片方は、以前の記事に出てきた私のアイドルなんですよッ!(床を強く殴りつける)
ナチュラルにホモ臭いやり取りばっかりしやがって、誘ってんのかこの野郎と、憤激する毎日である。とてもかわいい。
どのくらいかわいいかと言うと、同じ布団に入ったなら腕枕してあげて、なんなら頭を撫でながら、「愛してるよ…○○…」なんて囁きたくなるくらいかわい。会って触れるアイドル。
という話を友人にすると、「お前の好みは分かり易いけどわからん」と言われました。解せぬ。
私は目が細くて、背が高くて、髪の毛が少しもさもさで、大型犬みたいな男子が好きである。ついでにホモ臭かったり、男子校出身だったり、男にモテちゃうタイプの男だとなおよい。
ひさびさのブログ更新がこんなんでよいのだろうか…。
どなたか、目が細くて背が高くて髪の毛が少しもさもさな男子を紹介してください。お待ちしております。