うならない俺の恋心
12月も半ばを過ぎ、年の瀬も大詰めである。もう一年終わるのかよ、早いよ。卒論もシューカツも間に合ってないよ!
急がば回れということわざに全てを託して遠回りをし、ちゃっかりブログを書いています。こんにちは。
自分のしたいことが分かっていれば迷うことなどないのだ(やけくそ)。
年末といえば忘年会。酒がはかどる時期である。
先日、大学の仲間たちと忘年会をとり行った。なんと一年生が企画をしてくれた。いやぁ、愛されちゃって。よい後輩を持ったものだ。酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞー!
まだアルコールが飲めない一年生の前で、全てを任せて飲む私。もしかして人として落ちぶれてないか?
もちろんそこには、私の天使である後輩くん(19歳男)もきていた。首元に巻いたマフラーがかわいらしく、寒さに赤く染まった頬は寒空の下でつぼむ桜のようだ。当然のように、ばっちり隣に陣取る。
後輩男子を目当てに忘年会に参加し、一年生に囲まれて酔っ払う私。もしかしなくても人として落ちぶれてる!
恋の前に人は盲目なのさ(ニヒルな笑み)。
やはり先輩としては後輩たちの恋愛事情が気になるので、酔った勢いでぐいぐいと聞き込みにまわる。
「最近おもしろい話ないのー?」
「お、おもしろい話とは」
「恋バナに決まってるじゃん!」
「こ、恋バナですか?な、なくはないですけど」
「お、聞かせろよー!」
ざっとこんな感じだ。改めて文字におこしてみると、ウザさがよく分かる。反省したほうがいい。
彼らは人がいいので、なくはない恋について語ってくれたが、なんだかんだでほぼ全員が恋をしている、もしくはしていたらしい。おかしいな、私にはそんな浮ついた話はなかったぞ。
彼らの生きる大学一年生と、私の生きた大学一年生には、天と地ほどの隔たりがあるようだ。ちなみに私が地だ。おのれ。
気になる天使くんも恋をしていたらしいのだが、「もう冷めちゃいましたね」と笑っていた。「恋は一時の気の迷いなんですよ」とも言っていて、まだ十代なのにやたらと達観している。
未だにまともに恋をしたことのない私は、どんな恋がしたいかという質問に「なんでもない時に黙って抱きつかれるみたいな~」と適当にお茶を濁したのを恥じた。天使くんは私よりもよほど大人だ。
ちなみにその後、天使くんは私のことを黙って抱きしめてくれました。
恋に落ちる!ていうかもう落ちてるよ!
デヘーッと緩みきった顔を写真におさめられたので、お酒のせいにしておこう。
天使くんととった写真の私は、ニヤニヤと嬉しそうな顔をしていて、彼に私の気持ちがバレていないか心配だ。後輩のくせにアイスをのせたスプーンを差し出しながら、「あーん」なんて言ってくるし、案外バレているのかもしれない。
バレていてもそんな風に接してくれているのだとしたら、ありがたい限りだ。
後輩たちの恋愛事情について聞いていると、きっといいものなのだろうなと思えてくるから不思議だ。彼らは恋愛を、前向きなエネルギーにしている。
付き合うとか付き合わないとかでなく、誰かを好きという状況を楽しんでいるというのだろうか。秘して耐えるのではなく、それを人に話してワイワイと騒ぐのをためらったりしない。
彼らはきっと、誰かを好きになった自分に引け目がないから、あけっぴろげに話せるのだ。
とある子の告白のときの話を聞いたのだが、それがまるで少女マンガのようで私はただでさえお酒で赤くなった顔が、さらに赤くなってしまった。
なんでも好きな子と二人で居るときに、「実は好きな子が居て、気がついたらその子のことを考えたりしてるんだよ」という話をしたらしい。
茶化したりせずに真摯に話を聞いてくれるその子に、高まる気持ち。
話し終わってから、「じゃあ告白してみるよ」と決めたことを告げる。そして次に、実は自分が好きなのは君で、今の話は全部オレからの君に対する気持ちなんだと打ち明けたそうだ。
これを書いている今も思わず手が震えるほどにときめいているのだが、なんだそれは!
現実にそんなピュアフル文庫みたいな話があっていいのだろうか。しかし実在するストーリーなのだ。
私は彼の笑顔を、眩しさのあまり直視できなかった。おそらく直視すれば、太陽に近づきすぎて焼き殺されたイカロスのごとく、私の眼球は破壊されていたことだろう。
な、な、なんて綺麗な話なんだ!
ひとしきり興奮した後、「ところで先輩はなにかないんですか」と聞かれ、思わず沈黙してしまったことだよ。
強いて言うなら天使くんのことが好きだが、「彼には絶対に犬耳とミニスカートが似合う」というような妄想をしてしまうこれ、を恋と呼んでいいのだろうか。
もはや偶像崇拝的な気配を帯びてきている。
飲み会やたまにチャンスがあるたびに「大好きだよ!」と告白をするのだが、「オレも霞先輩のこと大好きですよ」と返されてしまう。嬉しいんだけど、そうじゃなくて!
会うたびに思いのたけを伝えようと思うのだが、急に私の中の中学生な部分が目を覚まして、冗談めかしてしまう。なんてチキンなんだ!さっきの男子を見習えよ!
なんだか私の恋は、生ぬるい汁物みたいだ。火の通りがあまくて、うまいともまずいともつかぬ。
今まで恋など知らずにぬくぬくと育ってきたのが悪いのだろうか。この冬の寒さを溶かしつくすほどの情熱がなければ、彼には届かない気がする。
彼が何気ない時に笑顔を向けてくれるだけで幸せなので、しばらくはそれで満足していよう。