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やはりお注射で治すのだろうか

 眠りに落ちるのと気絶するのって、大した変わりはないのではなかろうか。少なくともどちらも意識がなくなるのだから、状態としては変わらないはずだ。

 それなら、私が今ここで睡魔に負けたとしても、「なんだか気が遠くなっていったかと思ったら、気絶していました」って答えても大丈夫だよね……。

 そんなことを講義中につらつらと考えていたら、気がついたらチャイムがなっていた。どうやらスタンドの攻撃を受けて、ちょっと気を失ってしまったようだ。断じて眠ってなどおらぬ。

 嘘です、寝落ちしてました。

 前日夜更かしをしてしまったせいで、今日は一日眠かった。四時に寝て昼の十二時に起きるような生活をしているので、たまの夜更かしがかなりキクのだ。

 いい加減に生活習慣を直したほうがいいと思うのだが、夜更かしがやめられぬ。ネットの世界にうつつを抜かしていると、気がつけば三時を回っていたりする。

 深夜のトチ狂った思考回路は「三時だからおやつを食べよう」と謎の指令を下し、私はそれに従ってもそもそお菓子やらパンやらを食べてしまう。腹が満たされたところで満足して、就寝。

 生活習慣の影響は十年後に出るらしいのだが、今から十年後が怖い。変な病気にかかっていたらどうしよう。ブルブル。

 それを避けるためにも、この歪みきった生活習慣を正さねばならぬ。

 病気といえば友人のSさんが、ボラギノール的な部位が痛むと嘆いているのを聞いた。立っても座っても痛むそうで、非常に難儀していたようだ。

 彼は恋多き人なので、過去の何かがその場所へダメージを与えたのではないかと私は推測している。

 私のブログを読んでいる紳士淑女の皆さんならご存知のことだろうが、男性同士でコトを行う際に使う穴といえば、一つである。彼の恋愛遍歴がここでストップしてしまうのではないかと、勝手に心配だ。余計なお世話か。

 しかし彼の嘆きは、肛門の痛みだけではなかった。

 彼は社会人であり、企業の一員である。そして休日は土日。つまり、病院に行くタイミングがないのだ。

 みなさんにも想像してもらおう。肛門に爆弾を抱えながら、痛みのために霞む頭で仕事に向かう辛さを。車に乗れば肛門が痛み、彼はついに穴あきの座布団を買ったそうだ。

 そんな非効率を抱え、彼は働き続けたのである。

 「そんなの夜に救急外来にでも行けばいいじゃないか」と私は思ったのだが、部位が部位である。Sさんの恥じらいは、夜間の救急に肛門が痛いという理由で行くことを拒んだ。

 もちろん会社を休むなどもってのほかである。なぜなら会社を休むには、どこへなにをしに向かうのか報告をせねばならないからだ。肛門が痛むので肛門科へ見てもらいにいくということを職場で宣言せねばならぬのは、相当の精神的苦痛を伴うに違いない。

 ああ、S氏。万事休す。

 不調をガマンして働き続けた結果取り返しのつかない結果になるというのは、よく聞く話ではある。私は社会人ではないので、実際に働いてみるまでは、どの程度休みをとりづらいのかというのもわからぬ。

 しかし明らかな不調が体にあるにも関わらず、なかなかそれを治しにいけないという今の社会はいかがなものか。

 往々にして日本人は働きすぎであると言うが、働きたくて働いているのではなく、それは逃れようのない流れができてしまっているからに過ぎない。誰だって肛門が痛めば、病院に行きたくもなるだろう。

 それが許されぬというのは、なんとも酷な話ではないか。

 なので私は、世の中の働いている人たちに声を大にして言いたい。もっと積極的に休みをとろうと。もちろん仕事をほっぱらかして休むのではなく、自分と他人の仕事に線引きをし、自らのノルマを果てしてからという条件はつくだろうが。

 社内の半分以上がそういう風に働くようになれば、企業のほうも変わらざるを得ないのではなかろうか。

 なんてことを私のような学生が言うと、「それで休めれば苦労はしない」という声が聞こえてきそうである。うーむむ、その通りだ。

 私は世の中の働く大人たちを尊敬する。

 汗水たらして苦労に耐え、日々黙々と働く人々。ものすごくありふれているのに、すごいものだと思う。それぞれの人が、それぞれの喜びや悲しみを抱えて働いている。

 電車に乗ってぼんやりと外を眺めていると、そこかしこのビルや建物に光が灯っている。その一つ一つの中で、家族と過ごしたり働いていたりする人たちが居る。

 世界は広大だ。小さな光の中にたくさんの物語が存在する。

 願わくは、お父さんお母さんたちが無理して働かなくてもいい未来の到来を待つ。せめて肛門が痛いときくらい、黙って病院に送り出してあげてほしい。

 同僚の秘めし痛みをそっと受け止め、黙って見送る。そんな会社で私は働きたいのだ。

 ちなみに、Sさんは無事に病院に行くことができたらしい。やはり痔であったようで、彼の今後の恋愛がどう転んでいくのか気になる。

 Sさんはピュアであるらしい(本人談)ので、今後は肉体交渉の少ないプラトニックな恋愛に移行するのだろう。

 強く生きて、Sさん!