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仲間たちが待ってる世界へ帰らなきゃ

 少々ご無沙汰しておりました、お久しぶりです。少々といっても二週間ほどだが、八月あたりからの更新頻度からすればご無沙汰だと思う。

 この一週間と少し(誤魔化した)の間に私が何をしていたかというと、もともと私がいた世界に帰っていた。

 実は私は本来こちら側の人間ではないのだが、とある事情からこの世界で仮暮らしをしているのだ。

 しかし向こうの世界をほっぽらかしにするわけにもいかないので、ちょっとばかし里帰りをしていたというわけである。

 あちらでは仲間たちが私のことを待ってくれている。その仲間たちと共に、泥棒を追いかけたり、魔物を倒したり、世界の危機を救ったりしてきた。ちょっと私が離れると、すぐこれである。まったく油断も隙もない。

 無事に災厄を追い払うことができたので、こちらの世界に帰ってきた次第である。

 なんのことかと言うと、頭のてっぺんから足のつま先まで、どっぷりゲームにはまっておりました。その名も“テイルズオブヴェスペリア“。

 いやー、面白いのなんの。

 ネタバレにならぬよう気をつけますが、もしかしたらポロッと言っちゃうかもしれないので、嫌な方はどうぞお気をつけくださいまし。

 まずはざっくりと内容を説明しよう。舞台は“テルカ=リュミレース”。人々が魔導器(ブラスティア)を使って生活している世界。

 その魔導器はエネルギーの源となる、魔核(コア)がなければ動かない。そんな重要なコアが、主人公であるユーリの住んでいる下町から盗まれた。これはヤバい。

 その魔核を取り戻すために、ユーリの冒険は始まる。仲良しの飼い犬やひょんなことから仲間になったお城のお姫様。他にもさまざまな仲間たちと出逢うユーリ。しかし魔核泥棒は問題のほんの一端に過ぎず、そいつを追いかけるうちにユーリは世界の不都合な真実に直面することになる。

 彼らは、世界を変えることができるのか。

 まぁこんな話です。もの凄く適当な要約なので、異論は受け付ける。雰囲気が伝わればよいのだ。

 私なりにこのゲームを表現すると、「選択と成長の物語」だ。

 主人公たちは、いたるところで選択を迫られる。自分の目的のために悪を見過ごすのか。法が裁かない悪を野放しにするのか。目の前のことにとらわれて大義を見失ってはいないか。今までの生活を手放す覚悟があるか。

 そしてなにより、人の力を信じるか。

 このゲームで特徴的なのは、「悪」の所在がはっきりしないところだと思う。もちろん作中には、悪人が出てくる。私も思わずテレビの前で歯噛みしながら、「こ、この野郎…!」とうなってみたりした。入れ込みすぎである。

 しかし一方で、悪とは断じ切れない存在がいたのも事実だ。物語の成り行き上戦うことになっただけなのだ。もう少し考えが足りていれば、もう少し過去の人間が思いやり深く賢ければ、避けられた結末があった。

 悪には悪なりの理由があり、結果があったのだ。

 正義とか悪とか、そんなものは見る側によって変わる現実であり、それぞれに事情がある。大切なのは、その中で自分がどんな選択をするかということだ。

 そしてもっと大切なのは、自分だけで思い悩み選択するのではなく人の言葉を聞き入れ、それを自らの選択に活かすことだ。

  そんなメッセージがあったように思う。

 とまぁマジメっぽいことを言ってみましたが、実際そこまでかんがえてプレイしてません。カロル先生(ゲーム内のキャラクター、ショタ、ヘタレ、最高にかわいい)がかわいくてかっこいいあまりに、セリフ送りをするのも忘れて画面に見入ったり、リタ(魔法少女ツンデレ)の術技が好みすぎて大興奮したりしていた。

 さて、ずいぶんと枕が長くなってしまった。こっちの世界(現実のこと)に帰ってきた私は、向こうの世界で髪の毛が気になっていた(画面がうまく見えなかった)ので散髪をすることにした。

 思い立ったが吉日、さっそく美容院に電話をかけると、五時ごろなら空いているということだった。ちょうどその前まで授業があったので、それに出席してから美容院へ向かう。

 ここでみなさん、以前私が美容院へ行ったときのことをブログに書いたのを覚えているだろうか。

 ご存じの方もご存じない方も、よければこちら(南国の体臭)をご一読ください。

 この時と同じ美容院へ行ったのだが、出迎えてくれたのが、前回散髪をしてくれたお兄さんだった。あいかわらず爽やかである。

 特に待たされることなく椅子へ案内され、おとなしく座る。座った段階で、自分がゲスな欲望満載のブログを書いていたことを思い出し、恥ずかしくなる。

 だいたい、なにかしらの文章を書いてる時というのは少しばかりハイになっているものである。何かになりきっていたり、勢いづいてしまっていたり。

 そういうものを後から思い出すのは、自分の過去の失態を見ているようで恥ずかしい。別に失態ではなく、単純に自分がそう書いただけだと分かっていても恥ずかしい。

 というわけで微妙な気分になりながら、お兄さんにシャンプー台へ連れて行かれる。

 ひざ掛けをのせられ、イスを倒され、顔に白い布をおかれ、頭をすすがれ、至れりつくせりだ。前日の睡眠不足もあいまって寝そうになった。

 うつらうつらしたまま先程のイスへ戻ろうとすると、お兄さんからお声がかかった。

 「あ、今日は個室の方にいきましょう」

 え、なに個室って。プライベートルーム?(違う)

 ていうか他の人から見えないところで二人っきりってことですかお兄さん。それってもしかして髪の毛をいじりながら、「とても綺麗な髪の毛をしているね」とか囁かれたりするんですかね!?

 そ、そ、それとも、髪の毛をいじるふりをして耳元を触られ、思わずビクリと震えてしまった肩に手をおいて「怯えなくてもいいんだよ、子猫ちゃん(死語)」と、誘惑されたりするんですかね!?

 この間わずか、3秒ほど。

 個室という言葉に対する偏見が著しいので、何かをあらためたほうがいいかもしれない。

 もちろんそんないかがわしいことはなく、単純に「向こうは人がいっぱいだから、今日はこっちで」という理由であった。なーんだ。

 個室にはテレビがついており、好きな番組を見ながら散髪されることができるという代物だった。最近の美容院はサービス精神旺盛じゃのう。

 しかし私は普段からぜんぜんテレビを見ないので、適当にニュースにチャンネルを合わせてボーッと画面を見る・

 …………。

 …………。

 …………。

 き、き、きまずいよ!!

 個室だと周囲に人がいないので、沈黙がやたらと重くのしかかる。質量を持った沈黙だと。

 なんとかその状況を打破すべく言葉を探すのだが、何も出てこない。もともと年上の人はちょっぴり苦手なのだ。どれくらいふざけていいのか分からないし。

 こんな時ばかりは、普段どうでもいいことしか考えていない私の頭を呪う。

 「私はエビが好きなんですけど、火が通ったのと通ってないのならどっちがいいですか?」なんて聞けようか。いや、聞けない。あまりにもどうでもよすぎて、お兄さんの目が点になっているのが想像できる。

 そんな風に胸の中で押し問答をしていたら、お兄さんの方が話題を切り開いてくれたので、適当にそれにのっかる。美容院で働けばコミュ力もつくだろうなぁ。いいなぁ。

 私はコミュ力があまり高くないので、初対面の人のまえでは物怖じしてしまうよ。

 そんなこんなで無事に散髪は終わり、家路についた。テレビで「独身貴族」についてのニュースをやっていて、お兄さんに「結婚してるんですか?好きな人とかは?」と聞けなかったのが非常に心残りな帰り道であった。

 私の髪の毛は人一倍多いらしく、たくさんすいてもらったので頭が軽くなった。おかげでとてもよい気持ちである。

 髪の毛といっしょに煩悩も切り落とせれば、もっとすっきりできそうなものだ。