まぶたを閉じてもそこには無い

 最近なにかと、言葉選びのセンスが古いと言われる。そんなことはないと思うのだが、自分の言葉は自分基準なので、人からしたら古いのかもしれぬ。

 とはいえ、はやり言葉を使っている自分は、無理をしている感が否めない。時流に追いつこうと必死ですがりつくのは無様だと、あってもなくてもいいようなプライドが頭をもたげる。

 たまに「これは好きだなぁ」と思うような言葉に出くわすことがある。そういう時、私はその言葉にはまって、ことあるごとにその言葉を使ってしまう。あとから思い出して「なんて恥ずかしいことを」と気付くが、後の祭りなのである。

 白鳥は一見美しいが、水面下では必死でバタ足をしているという。しかし私の無様さは、白鳥がバタ足で地べたを走り回っているようなものだ。しかもガァガァとはやり言葉をがなりたてているものだから、始末に負えぬ。もっと軽やかにしなやかに、時の流れを泳いでいきたいものである。

 最近おどろいたのは、「しなをつくる」という言葉が通じなかったことだ。

 私にとっては、みんなが知っている常識的な言葉のつもりだったのだが、とある年下の友人に使うと「え、なんですかそれ?」と首をかしげられた。

 ちなみにこの言葉は、意中の相手などに対して、自分が魅力的にうつるようにあざとく振る舞う、というような意味だ。単純にかわいらしく振る舞うという意味もあるらしい。余計なお世話かもしれないが、ご存じない方のために。

 今までいくつか記事を書いてきたが、その中には「なんじゃこりゃ?」と思うような単語もまざっていたのかもしれない。

 もし意味の分からない言葉がございましたら、ぜひともGoogle先生あたりにご確認いただきたい。

 面白い(かどうかに自信はないが)ブログを読んで、語彙まで増やせるなんて一石二鳥!

 今後とも本ブログを宜しくお願い致します。

 なんとなく宣伝を挟んでみたが、無意味なことこの上ないな…。

 伝えたくても伝わらなかったり、伝えることすらできないというのは、切ないものである。

例えばここにA君がいるとしよう。A君はB君のことが好きでたまらない。だから彼にちょっとした悩み相談をしたり、何か共有できる二人だけの話題が欲しいと思っている。

 気になってるだの秘密を共有するだの、そもそもどっちも男じゃないかって?通常運転だ、気にするほどのことではない。

 話を続けよう。

 しかしB君は実は、Cさんに想いをよせている。Cさんのことを考えるだけで頬が緩み、話していれば動悸がしてくるほどである。

 B君のことが好きなA君は、B君のことを毎日眺めるうちにそのことに気付き、途方にくれる。

「そうか、BはCさんのことが…そうだよな、俺は男だし、女の子にはかなわないよなぁ…」

 おまけにB君は最近Cさんと仲睦まじく、A君とあまり遊んでくれない。A君が欲しかった二人だけの話題も、彼らは持っているようだ。

 諦めきれないA君は、おりを見てはB君に話しかけてみるものの、どことなく気が無い(ような気がする)B君の素振りにしおしおとしてしまう。

 話しかけたくても、B君が話したい相手は自分じゃなくCさんだと分かりきっているA君。切ない思いを噛みしめて、B君がCさんと話したり羨望の眼差しで見つめるのをはたから眺める。

 「やっぱり男同士なんて、ダメだよな」

A君は今日も、切ない胸の内を明らかにすることなく、B君を眺めるのであった。

 あぁ切ない!

 A君!私は君を応援するよ!この上なく応援するよ!

 かように、人の気持ちの擦れ違いとは切なく哀しいものであったのか。なんとかみんなで幸せになれぬものかのう。

 だが、報われないからこその美しさがそこに在るのも事実だ。報われぬ思い、さりとて諦めもつかぬ。A君の心の内で燻ぶる火は、どんな未来を呼び寄せることになるのか…。

 A君が報われることを祈りつつ、舌なめずりしながら動向を見守ることにしよう。

 なんならB君にしなをつくって迫ってもいいのよ(先程出た言葉を使ってみる)。

 しかし、もしもCさんもB君を好きだった場合、A君に勝ち目はあるのだろうか。そしてA君がB君の心を奪ったとしても、今度はCさんが切ないことに。

 なに、Cさんはとてもかわいい女の子という設定なので、じきに失恋の痛手を乗り越え、別の男を捕まえてくれることだろう。

 いよいよ自分の妄想の中の登場人物の心配までし始めてしまったわけだが、私に現実の春は訪れるのだろうか。

 春よ、遠い春よ。